みなさん、こんにちは。
毎日使いたいわけじゃないけど、無いと不便な駅の売店。
JR東日本では「キオスク」と呼ばれているお店です。
実は、コロナの影響を受けて、各地の売店が閉店しているのです。
京急さんでは、「京急ステーションストア」と呼んでおり、
全19店舗運営していましたが、4月の緊急事態宣言の発出を機に全店を休店、
11月に正式に全店の閉店を決めたものです。
そして、この12月に
食料品を含む在庫を、
神奈川県内でフードバンクや子ども食堂を運営する
NPO法人セカンドリーグ神奈川に寄贈したということです。
駅一体化売店の商品を寄贈しました | ニュースリリース | 京浜急行電鉄(KEIKYU)www.keikyu.co.jp
京急電鉄とNPO法人セカンドリーグ神奈川は神奈川県の
「かながわSDGsパートナー」へ参画しており、
京急沿線や神奈川県内の社会課題解決に向けて、
SDGs12番目の目標でもある「つくる責任使う責任」の達成に向けて
廃棄物の削減に取り組んでいます。
としています。
ここで、今話題のSDGsについておさらいをしておきましょう。
SDGs=Sastainable Development Goals
=持続可能な開発目標
=えすでぃーじーず
持続可能な世界の実現のために定められた世界共通の目標のことです。「持続可能な世界」とは、今現在生活している私たちの要求を満たし、かつ、将来の世代が必要とする資産を損なうことのない社会のことです。
その実現のために、貧困から、環境、労働問題まで17のゴールを掲げた
SDGsは、2010年の国連サミットにおいて全会一致で採択され、
2030年の達成を目標としています。落合陽一著『2030年の世界地図帳』2019年 より
SDGsの達成のための重要なキーワードが「トレードオフの解消」です。
「トレードオフ」とは、「何かを実現する代わりに、何かが犠牲になること」です。
例えば、僕たちがこれまで取り組んできた会社の利益やGDP成長を重視した経済活動は、優れた商品やサービスを生み出し、戦後では想像もできないような豊かな社会を生み出しました。
一方で、その陰で経済格差の拡大により国内でもひとり親家庭、子供の貧困、ネットカフェ難民と言った貧困の拡大、環境汚染や公害による健康被害や地球温暖化を引き起こしました。
SDGsでは、このようなトレードオフが起こらないようイノベーティブなアイデアを創出して、これまでとは違う発想で取り組む必要があります。
京急さんの例では、リリースにもある通り、
SDGs12番目の目標でもある「つくる責任使う責任」
の達成に寄与しています。
さらに、余剰となった食料等を子ども食堂などで活用することで、
SDGs1番目の目標である「貧困をなくそう」
SDGs2番目の目標である「飢餓をゼロに」
など、複数のSDGs目標にアプローチしていることが
評価できると思います。
もう1つ重要な、3つのキーワードがあります。
「地球規模」
「バックキャスト」
「誰ひとり取り残さない」の3つで、下図は僕の解釈を記載したものです。
京急さんのこの取り組みによって、NPO法人セカンドリーグ神奈川、
ひいては、子ども食堂の利用者も喜ぶことでしょう。
ところで、
ここで寄贈した商品を消費しきったら、
セカンドリーグ神奈川の皆さんはどうしたらいいでしょうか?
もちろん、これまで通り他のところから食料を調達しなくてはなりません。
つまり、これまでの状態に戻ってしまうのです。
これではステキな取り組み自体が「持続可能」ではなく、「一過性」のものになってしまいます。
実は、
SDGs達成に向けた取り組みは4つのステップがあります。
ここで重要になってくるのが3つのキーワードの中の「バックキャスト」です。
「バックキャスト」とは
将来のあるべき姿や理想の姿を明確にし、
それを実現し、理想の姿であり続けるためには何をしなくてはいけないか考える
未来思考のことです。
反対に、今行っている取り組みをベースに、「こうすれば今よりはよくなるんじゃないか」を考える志向を「フォアキャスト」といいます。
SDGs1.0から2.0は現状をベースに理解と改善をしているので、
「フォアキャスト」思考と言えるでしょう。
連続的SDGsイノベーションとも言います。
「連続的」というのは、現在の状態とつながっているということです。
京急さんの取り組みも、売店の閉店という1つの取り組みをベースに、よりよい閉店の仕方を模索しての取り組みですので、「フォアキャスト」志向と理解できます。
一方、そのような連続的イノベーションでは、地球環境問題や貧困をはじめとした社会課題はいっこうに解決されないことが、これまでの企業の取り組みでわかってきました。
地球温暖化問題1つとっても、京都議定書締結以降、経済界でも一定の取り組みは行っているものの、むしろ地球の平均気温は上がってしまい、異常気象や自然災害に悩まされることとなってしまいました。
そこで、SDGs1.0で理解したゴールを2030年までに達成するためには、自分たちの事業をどう変革すればいいのか、未来から逆算してビジネスデザインを創造するのが「バックキャスト」であり、SDGs3.0です。非連続的イノベーションとも言います。
さらに、SDGs4.0では、3.0の取り組みを自分たち以外も実行し、世界中で同時多発的に取り組まれるようになり、地球全体で一気にゴールを目指していきます。
京急さんは、今般閉店した京急ステーションストアのほかに、京急ストアや京急百貨店などの小売業を行っています。ここでは、経常的に食料品や衣類の廃棄が発生しているはずです。「バックキャスト」思考で考えれば、ここにSDGs12番目の目標でもある「つくる責任使う責任」を達成するビジネスチャンスは大いにあると思います。
例えば、POSの売上のデータと在庫管理のデータをAIで分析し、
仕入れる商品を適切な量に調整するとともに、
在庫のうち子ども食堂に寄付しても差し支えない量を計算させても面白いでしょう。
さらに、京急ストアをはじめとした大手私鉄系スーパーは共同仕入れやプライベートブランドの開発も行っており、良好な関係がすでに築かれているため、各社データを持ち寄って広域での仕組化ができれば、SDGs4.0にググッと近づくはずです。
僕たちや子供たちの未来がかかっているSDGsの実現。一過性のイメージ戦略ではなく、未来に直接手を伸ばす「バックキャスト」で大きく羽ばたいてほしいと期待しています!
あんしんを羽ばたく力に ー 京急グループ
なお、ここまでの記事は、株式会社グローバルイノベーションが運営し、僕が所属するSDGsビジネス専門スクール「Start SDGs」で学んだことを僕なりに噛み砕いて記載させていただきました。ありがとうございました!www.startsdgs.com