みなさん、こんにちは。
鉄道マニアには、「推し」路線や「推し」鉄道会社がある方が多いと思います。
きっと子鉄にもあるでしょう。
圧倒的な人気を誇るのは、新幹線を擁するJRグループ。
子供たちはもちろん、僕より上の世代の方を中心に国鉄至上主義が中心にありますから、幅広い世代にリスペクトされています。
私鉄で人気があるのは、京急ですね。
堂々たる赤い車体で都心から羽田空港と、三浦半島の観光地を結びます。
その魅力たるや、時速120kmでJRをぶっちぎる快特電車、私鉄では珍しいオールクロスシートの2100形など枚挙に暇がありません。
ヤーコンの「推し」は、首都圏に住んでおきながら申し訳ありません、関西の京阪電車です。
京阪電車には、琵琶湖のほとりから京都の雅なエリアを結ぶ京津線(けいしんせん)という路線があるのですが、見た目は普通の電車、しかし、ある時は路面電車、ある時は登山電車、そしてあり得ない直角カーブを曲がり、さらに地下鉄に乗り入れるという、カオスな路線があるのです。
逆に、かつてディスっていた路線が東急電鉄です。
東急と言えば、渋谷の再開発の力を入れ、高さ約230mの展望台「渋谷スカイ」を擁する「渋谷スクランブルスクエア」や、Googleの日本法人がオフィスを構える「渋谷ストリーム」などの大型物件を次々と開業させました。
さらに、東横線は代官山、自由が丘、田園調布、武蔵小杉などの全国区の知名度を誇る街を結び、田園都市線は二子玉川のほか、ドラマ「金曜日の妻たちへ」の舞台にもなったたまプラーザなど、東急が中心となって開発したニュータウン「東急多摩田園都市が広がっています。
しかし、そんなすごさが小学生ヤーコンには理解できていませんでした。
まず、東急線には沿線に観光地がないため、有料特急が走っていません。
いまでこそ東横線に特急が走っていますが、これは湘南新宿ラインに対抗するための通勤列車の1種別にすぎずません。
かといって、京阪本線の2階建て車両や京急のようなオールクロスシート車も走っていないので、新幹線や、小田急ロマンスカー、東武スペーシアにあこがれる少年には物足りない路線でした。
次は、車両です。
当時東横線を走っていた8000系や、いまも田園都市線を走る8500系は、車体に色を塗っていません。(正面の赤帯のみ、あるいはそれすらない。)
小学生ヤーコンは、
「東急は特急も走っていないし、車両に色も塗れないビンボーな会社なんだ」
と、思っていました。
しかし、ある時学校でテスト中、テスト用紙の裏に駅名を書いて遊んでいたら、社会の先生に言われたのです。
「ヤーコン、日本で1番儲かっている鉄道会社知ってるか?」
「西武線ですか?」
西武線は僕のおばあちゃんが住んでいる路線で、特急レッドアローが走っているほか、列車はなんと10両編成!(当時私鉄で日中も10両はレアだった。)しかも、列車が到着するときは自動放送が流れる最先端の鉄道(だと思っていた。)でした。
「東急なんや(ニヤリ)。」
と、先生。
なるほど、東急は電車に色を塗るお金をケチって儲けているのか、
なんてセコい会社なんだ!
車両の色塗りにこだわる小学生ヤーコンですが、当時の鉄道車両は鋼鉄車体が主流で、防錆も兼ねて全面に色を塗っていました。
山手線は黄緑、京浜東北線は水色、中央線はオレンジ、私鉄でも、西武線は黄色、小田急線は青、京急線は赤といった具合です。
しかし、東急線は早くからステンレス車体を導入していたので、色を塗る必要がなかったのです。
ケチっていたのではなく、むしろ最先端の技術だったのでした。
なお、今では車体は塗料を吹き付けるのではなく、シールを貼って塗装とすることができるようになったため、各社いろいろなデザインでアイデンティティを出しているほか、いわゆるラッピング広告も容易になりました。
もちろん、東急の新型車両もラッピングでおしゃれなデザインになっていますよ。
そんなわけで、大人になってようやく東急の良さがわかってきたヤーコン。
東急線に乗っていると、他の沿線よりも撮り鉄の人が多いような気がします。
小学生ヤーコンにはわかりませんでしたが、世の中の皆さんには、東急の魅力はちゃんと伝わっているんですね。