【この記事は執筆当時の内容になっています】
JR東日本は来年春より、新幹線と特急列車のグリーン車の料金を改定すると発表しました。
JR東日本なので、東海道・山陽・九州新幹線は対象外となります。
新型コロナウィルスの影響とテレワークの普及などにより大きな打撃を受けている鉄道業界。
そんな中での、グリーン料金値上げは止む無しと思いながらも、どうせなら、オトクに使っていきたいもの。
今回は、来春以降少しでもお得にグリーン車を使用するポイントを解説します。
- 1,そもそもグリーン車とは
- 2,グリーン車料金改定の内容
- 3,実は値上げではない。
- 4,普通列車と快速列車は値上げしない。
- 5,遠くに行くほどオトクは変わらず。
- 6,100キロ刻みで考える。
- 7,301キロ~400キロは値上げしない。
- 8,グリーン車乗ることは、SDGs。
1,そもそもグリーン車とは
JRグループ各社の旅客列車(中略)のうち、普通車に比して乗客1人あたりの占有面積が広く、設備が豪華であるなどの理由で別途の料金がかかる特別車両
と、書かれています。
なんとなくイメージは付きますよね。
例えば、新幹線は普通車であれば、2列+3列の計5列座席が並んでいますが、グリーン車は2列+2列の計4列で、シートピッチも広く、ゆったりと座れます。
また、東海道線などの中距離列車は普通列車でも、2階建てのグリーン車が連結されていて、クロスシート座って快適に移動することができます。
グリーン車に乗車するには、いわゆるグリーン券が必要で、グリーン券の購入に必要な料金がグリーン料金ということになります。
最近では、さらに豪華なグランクラスやプレミアムグリーン車も登場しています。
2,グリーン車料金改定の内容
グリーン料金は、乗車する営業キロ数100km刻みで料金が決まっています。
料金の改定額は以下のようになっています。
特筆すべき特徴がありますので、このあと詳しく説明しますので、オトクにグリーン車を使っていきましょう。
なお、グリーン料金は、普通車に加えてより快適なサービスに対するプラスアルファの料金ですので、別途乗車券の運賃と特急列車であれば特急券の料金を加えた金額を支払わなくてはなりません。
3,実は値上げではない。
実は、今回の値上げは、値上げではありません。(意味不明)
話は2002年に遡ります。
今の東北新幹線は、東京駅から新青森駅まで走行し、北海道新幹線の新函館北斗駅まで運転されていますが、かつては岩手県の盛岡駅止まりでした。
そして、2002年に盛岡駅から八戸駅まで延伸されたときに、列車の利用促進を目的にグリーン料金の値下げが行われました。
JRグループは、かつては日本国有鉄道(国鉄)として1つの企業体だったので、グリーン料金も全国で統一でしたが、このときに、JR東日本だけグリーン料金が安くなったことになります。
今回のグリーン料金改定では、約30年の時を経て、2002年以前の水準に戻る形になります。
ただし、当時は消費税率が5%でしたので、現在の税率10%の料金となりますから、当時と比べると若干高額になっています。
なお、鉄道の運賃や料金は国土交通省による規制を受けておりますが、認可が必要なのは上限運賃ということになっており、値下げしていた分を元に戻すだけならば、届出でOKということになっています。
4,普通列車と快速列車は値上げしない。
まず、今回のグリーン料金改定は、新幹線と特急列車が対象ですので、普通列車や快速列車のグリーン車の料金はこれまでと変わりません。
首都圏を中心に走っている東海道線、横須賀線、高崎線、宇都宮線、常磐線、総武快速線などで2階建てグリーン車を連結していますが、これからの料金はこれまでと変わりません。
なお、これらのグリーン車のグリーン料金は、車内で購入すると割高になるため、事前にホームのSuicaグリーン券発売機や、モバイルSuicaで事前購入するようにしましょう。
JREポイントの交換メニューを使うと、乗車する距離に関わらず600ポイントで乗車できるのでさらにオトクになります。
注意点としては、これらはグリーン車と言えども自由席となっていますので、座席が満席で座れず、立ち席になってもグリーン券が必要なので気をつけましょう。
5,遠くに行くほどオトクは変わらず。
改めて、改定後のグリーン料金を見てみましょう。
乗車する営業キロが短い段階では、100km刻みで約1,000円ずつ料金が増えていきますが、301kmから料金が増えなくなり、最後の701kmを超えたところで、再度増えますが、それ以上は増えません。
今回のグリーン料金改定に関わらずの特徴ではありますが、301km以上であれば、乗れば乗るほどオトクになります。
※乗車券の運賃と特急券の料金は上がっていきますが、距離が長くなるにつれて、増え幅は少なくなっていきます。
乗車する営業キロが301kmを超えるのは、東京駅を基準に考えると、東北新幹線で白石蔵王駅(仙台駅の1つ手前)、上越新幹線で新潟駅(終点)、北陸新幹線で糸魚川駅、常磐線の特急ひたちで相馬駅(終点仙台駅の1つ手前の停車駅)より遠くということになります。
6,100キロ刻みで考える。
前述のとおり、特急列車のグリーン料金は100km刻みで設定されていますので、短い距離を乗るのは損です。
また、営業キロ101kmの乗車ですと、200kmまでの料金を取られますので、これも損です。
なので、可能な範囲で乗車する駅をコントロールするのがポイントです。
例えば、福島県の郡山駅は、東京駅から226.7kmなので、グリーン料金は、4,190円ですが、在来線を活用して、大宮駅から乗車すれば、営業キロが196.4kmとなり、グリーン料金は2,800円となり、1,390円安くなります。
もちろん、新幹線に乗車する距離が短くなるので、特急券相当の料金も安くなります。
その分大宮駅まで普通列車のグリーン車を使っても元が取れてしまいます。
7,301キロ~400キロは値上げしない。
改定前後の料金を比べると、乗車する営業キロ400kmまでの料金は、4,190円とこれまでと変わりません。
そのため、この範囲の乗車であればこれまで通りの料金ということになります。
5番と重複しますが、東京駅を基準に考えると、東北新幹線で白石蔵王駅から古川駅(仙台駅の次の駅)、上越新幹線は新潟駅(終点)、北陸新幹線で糸魚川駅から富山駅、常磐線の特急ひたちで相馬駅から仙台駅間ということになります。
8,グリーン車乗ることは、SDGs。
今回のグリーン料金の値上げ。
決してJR東日本が暴利をむさぼって儲けようとしているわけではありません。
新型コロナウィルスの影響で、輸送人員が減少し、経営を圧迫しているためです。
JR東日本グループの2020年度決算は、グループ連結で最終利益が5,779億円の赤字となりました。
2021年度は黒字に戻す計画でしたが、先日の第2四半期決算発表では、最終利益の通期予想が1,600億円の赤字と予想を下方修正しました。
JR東日本は首都圏の黒字路線で地方の赤字路線を補う内部補助で路線を維持していますので、財務基盤の脆弱化は地方路線の廃線に直結してしまいます。
グリーン車をオトクに使うことは、鉄道の路線維持につながり、地方経済を守ることにつながるのです。
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