横浜市高齢特別乗車証(敬老パス)は、横浜市内に住む70歳以上の人が、所得などに応じた負担金を払うことで、横浜市内のほとんどの路線バスと、横浜市営地下鉄、金沢シーサイドラインが乗り放題になるサブスクのようなサービスです。
「高齢者の方々が豊かで充実した生活を送るための支援」として、サブスクが流行る前から行政施策として行われています。
そして、この敬老パスはこれまで紙での発行でしたが、2022年10月からICカードで発行されるようになりました。
「さすがは横浜市!進んでいる!」と賞賛したいところですが、実際はそうでもないようです(笑)
<目次>
- 1.横浜市敬老パスはSuica/PASMOではない。
- 2.使うときは謎の専用端末にタッチ
- 3.改札で引っかかる人続出
- 4.目的は利用者数の計測だった
- 5.金沢シーサイドラインには端末がない
- 5,改善要望
- 6.まとめ
1.横浜市敬老パスはSuica/PASMOではない。
横浜市敬老パスは、ICカードになりましたが、SuicaやPASMOのような交通系ICカードではなく、専用のICカードになります。
なので、自動改札機やバスの運賃機は使えません。
おやっ?と思いますよね。
2.使うときは謎の専用端末にタッチ
横浜市敬老パスを使うとき、市営地下鉄ではコンコースにある専用の端末にタッチします。
自動改札機は通れないので、駅員さんに見せて通ります。
降りる時も同様です。
バスに乗る時も運賃機ではなく、その横の端末にタッチします。
これ、紙で良くないか?
3.改札で引っかかる人続出
しかし、横浜市の案内不足などもあり、SuicaやPASMOと同様に自動改札機にタッチするお年寄りが続出しているようです。
そこで、自動改札に止められるだけならまだマシ。
中には、財布に敬老パスと自分の交通系ICカードを入れてタッチしたせいで、交通系ICカードのほうから運賃を引かれてしまった例も。
そもそも、専用端末はコンコースの端っこのほうで、ポツンと置いてあるので、なかなか見つかりません。
すみっコぐらしの仲間に入れてあげた方が良いかもしれません。
4.目的は利用者数の計測だった
そもそもお金をかけてICカード化した目的は、利用者の利便性向上ではなく、利用者を正しく計測することだと、横浜市は公表しています。
敬老パスは無料で電車やバスを利用できるため、その分の運賃を横浜市が鉄道会社やバス会社に支払う仕組みになっています。
しかし、これまでの紙ベースだとバスの運転手さんや駅員さんがカウントするため、負担も大きいですし、ある意味どんぶり勘定で市に報告されている節もあったようです。
そこで、「IC端末でデータ化すれば自動でカウントできるよね」という狙いでICカード化されたようですが、タッチしなくても乗れるので、タッチするインセンティブもなく、正確に計測できているかは疑問が残ります。
5.金沢シーサイドラインには端末がない
金沢シーサイドラインは、JR根岸線の新杉田駅から京急本線の金沢八景駅を結ぶ新都市交通です。
途中には八景島などもある楽しい路線です。
金沢シーサイドラインには、敬老パスの専用の端末がありません。
なぜかはわかりませんが、結局は駅員さんに見せて、駅員さんがカウントしています。
なお、金沢シーサイドラインには無人駅も多くあり、この場合はインターホンで別の駅の駅員さんに連絡して、敬老パスを提示する仕組みだそうです。
これ、意味無くないか?
5,改善要望
この件は、TwitterなどのSNSでも話題になっていて、新聞にも取り上げられています。
横浜市営地下鉄駅での混乱。敬老パスIC化事業は勿論、予算や人材(シルバー人材サービス)は健康福祉局の管轄ですが、駅で混乱が発生していますので、交通局に読み取り機設置場所の改善を要望しました。https://t.co/FVazIlSyqd
— くさま剛 (@kusamatsuyoshi) 2022年10月11日
市議会議員のくさま氏のツイートでは、わかりにくい設置場所の改善要望を早速出したようです。
しかし、問題の本質は設置場所ではなく、利便性とオペレーションを統合的に検討しなかった点や、テクノロジーに対して盲目的になってしまった意思決定に問題があると思うので、勇気ある撤退も視野に入れてよいのではないかと思っています。
6.まとめ
いかがでしたか?
横浜市敬老パスのICカードの使い方をわかりやすく解説してきました。
みなさんのチカラで、この課題を解決していただけないでしょうか(笑)
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