1.「播州赤穂」はカッコいい!
大阪に行くと高い確率で出会う新快速播州赤穂行き。
私だけかもしれませんが、この行き先を見ると謎の高揚感に包まれます。
自問自答してみますと、高揚感の要因は下記のとおりです。
①そもそも新快速がカッコいい!
関東には「新快速」という概念がないので、珍しくてカッコいいです。使われる車両もメタリックな車体で、223系などは顔もイケメンなので、カッコよさに拍車がかかります。
②直向きなところ。
新快速播州赤穂行きは、走行距離が1番長い列車は琵琶湖の北側にある近江塩津駅始発、琵琶湖の東側→南側と北陸本線と琵琶湖線を通り、京都駅、大阪駅、神戸駅、姫路駅を経て播州赤穂駅に至るという、走行距離およそ261kmの長旅に挑戦しています。
例えば、15:06近江塩津駅発の列車は、3時間51分の旅を経て、18:57に播州赤穂駅に到着します。(投稿日時点のダイヤです)
③赤穂浪士を彷彿
「播州赤穂」と聞くと、やはり赤穂浪士を思い浮かべます。大石内蔵助を筆頭に、四十七士が主君の仇討ちをする姿は、直向きさを強調するようです。
④「播州」という響き。
これもカッコいい。「播州」とは、赤穂市がある旧播磨国のことです。鉄道の駅名には、このように旧国名をつけることがよくありますが、播磨赤穂駅ではなく、あくまで播州赤穂駅という命名主のセンスにはナイスネーミング賞を差し上げたいです。実は、この「播州」という表現はセンスが良いだけではないのです。この記事では、ここを深掘りしていきます。

2.旧国名が付く駅名
鉄道の駅名には、その駅がある街の名前がつけられることが多いです。
例えば、東京ディズニーリゾートがある舞浜駅は、千葉県浦安市舞浜にあります。
そうすると、駅名が被ってしまうことがあります。
違う鉄道会社ならまだマシなのですが(例:東急田園都市線江田駅とJR磐越東線江田駅)、同じ鉄道会社だと策を講じる必要がありそうです。
そこで、ひとつの方法として、旧国名をつける方法が定着しました。
特にJRグループは昔は国鉄でひとつの事業体だったので、たくさんの例があります。
例えば、JR奥羽本線湯沢駅(秋田県湯沢市)と上越新幹線の越後湯沢駅(新潟県南魚沼郡湯沢町)などです。

3.旧州名が付く駅名
一方で、旧州名をつけて区別する駅もあります。
ここで言う旧州名とは、旧国名の通称や俗称のことで、当時の生活文化の中で定着したそうです。多くの場合は、旧国名から1文字取って州をつけており、武蔵国は武州、先ほどの播磨国は播州と言うことになります。
基本は旧国名の頭文字+州ですが、近江国は近州ではなく、江州と言い、いまでも江州音頭のような形で残っています。(「成瀬は天下を取りにいく」より。)
州という漢字を使うのは、当時の中国の行政区分がいまのような省ではなく州だったからで、チャイナリスペクトによるものだそうです。
駅名の例では、表題の播州赤穂駅のほかに、信州中野駅(長野県・信濃国)、武州竹沢駅(埼玉県・武蔵国)、上州福島駅(群馬県・9上野国)、野州平川駅(栃木県・下野国)などがあります。

4.旧州名がつく駅名の驚くべき特徴
このように、鉄道の駅名は、他の駅との区別などの理由から、旧国名がつく場合と旧州名がつく場合があります。
事例の件数で見ると、旧州名の方がマイナーなのですが、旧州名のライナップを見てみると、すごいことに気づきます。
以下は、旧州名がつく駅名を網羅的にラインナップしたものです。
- JRグループ(旧国鉄)は、播州赤穂駅だけが旧州名を使用!
- 私鉄の旧州名は、関東北部に集中!
5.徹底的に旧国名にこだわった旧国鉄
JRグループ(旧国鉄)は、播州赤穂駅だけが旧州名を使用しています。
天竜浜名湖鉄道も、かつては国鉄二俣線でしたが、遠州森駅も国鉄時代は遠江森駅を名乗っており、二俣線が天竜浜名湖鉄道に引き継がれたときに、遠州森駅に改称した歴史があります。
確かに「とおとうみ」というのは、やや言いずらいと思うので、遠州鉄道が「遠江」を使わないのもよくわかります。
一方、言いづらさを許容してでも、旧国名を使うんだという旧国鉄の強い意志、悪く言えば融通が効かないザ・官僚主義が伝わってきます。
播州赤穂駅は、1951年に国鉄赤穂線の駅として開業し、旧国鉄として最初から旧州名が使われた超例外的な駅と言えます。
そのヒントとなるポイントとして、この播州赤穂駅から少し離れたところに、赤穂鉄道の播州赤穂駅がありました。
赤穂鉄道は、山陽本線の有年駅から赤穂鉄道播州赤穂駅を結んでいましたが、国鉄赤穂線の開業と同時に廃止になってしまいました。
こちらは思い込みですが、地元の皆さんから「オレたちが愛した播州赤穂駅の名前だけでも残してくれ!」みたいな陳情があり、例外を認めたとかそんなんではないでしょうか?
もうひとつの気づきの関東北部の件は他の記事に譲ろうと思いますが、上記のように、JRの中でもオンリーワンな播州赤穂駅がミャクミャクと残っていてくれているのはとてもありがたいことです。
最近は年末特番でも赤穂浪士をやらなくなってきているので、たまには現地にも遊びに行ってみたいと思います。
赤穂線は、JRの路線の中でも地方交通線に分類されていて、運賃が幹線のおよそ1.1倍になっているので、これからも応援よろしくお願いします!
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