ボクの息子はもう子鉄じゃないかもしれない。

子鉄(?)ヤンヤン(中2)の父であり、実写版アラレちゃんの娘ミーミー(小4)の父が、鉄道や子育てを楽しみながら、地方鉄道を救済していく物語です。子供の「だいすき!」「やってみたい!」を大切に子育てをしています♪ 子鉄応援ECショップ「でんしゃデパート」もやっています。本業はとある鉄道会社のSDGsおにいさん。なので、専門的な記事もあります。

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京成線謎運賃:東成田駅→成田空港駅より、途中の京成成田駅までの方が高い。

鉄道の運賃は、一般的には乗車する距離に応じて決まっていて、乗車距離が長いほど運賃が高くなるのうになっています。

下の画像は、日本一短い鉄道を名乗る芝山鉄道の終点芝山千代田駅の運賃表です。

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路線の構成ですが、

・芝山千代田〜東成田→芝山鉄道線
・東成田〜京成成田→京成東成田線
・成田空港〜京成成田から先→京成本線

となっています。

京成本線と京成東成田線は、京成成田駅で乗り換えとなっていて、芝山千代田駅東成田駅から、空港第2ビル駅成田空港駅に行くためには、京成成田駅を通る必要があります。

それなのに、京成成田駅までの運賃より、空港第2ビル駅成田空港駅までの運賃の方が安いのはどうしてでしょうか?

その秘密は、運賃表でニュッと出ている分かれ道が、京成成田駅からではなく、東成田駅京成成田駅の間から出ているところにあります。

下の画像を見てください。

成田空港周辺の営業キロ数の図

運賃表だけではわからないのですが、東成田駅京成成田駅の間に、駒井野信号場があります。

この駒井野信号場が、京成本線東成田線の分岐点になっています。

信号場とは、駅と同じ停車場の仲間ですが、乗客の取り扱いをしない施設となります。

ほとんどの列車は何事もないように通過してしまいますが、例えば単線の路線で反対方向の列車とすれ違い時に停車したりします。

今回の運賃の話題ですが、結論から言うとこの駒井野信号場で京成本線に乗り換えたと仮定して運賃を計算してくれています。

つまり、東成田駅から空港第2ビル駅に行く際、駒井野信号場〜京成成田駅を2回通ることになりますが、この部分をノーカウントにしてくれているということです。

本当にそうか確認してみましょう。

京成成田駅に停車する芝山鉄道の車両。

運賃計算のルールは、運送約款(旅客営業規則)で確認することができます。

旅客営業規則(京成電鉄線適用)第77条では、営業キロ程が
「3キロメートルまで140円」
「3キロメートルこえ5キロメートルまで160円」
「5キロメートルこえ10キロメートルまで190円」
と決められています。

また、第77条2(2)では、「東成田駅と空港第2ビルまたは成田空港駅間を乗車する場合」に70円を加算することになっています。(加算運賃

加算運賃とは、「主として新規路線の開業等に伴い発生する多額の資本費コストを回収するために、加算区間において基本運賃に加算して設定されるもの」で、成田空港に向かう路線を建設するためにかかったら建設費を回収するために設定されています。

また、第140条では、鉄道バリアフリー料金として、この旅客営業規則の範囲すべてで10円を加算することになっています。

鉄道バリアフリー料金とは、いわゆるホームドアの設置を促進するために特別に加算される料金となります。

なお、芝山千代田駅東成田駅間の芝山鉄道京成電鉄とは別会社なので、定額の220円となります。

それらを踏まえると、東成田駅空港第2ビル駅はわずか2.2kmとなり、京成成田駅に行くよりも格段に近いので、運賃も安いということになります。

ご覧のように駒井野信号場と京成成田駅が6.0kmあるので、もし駒井野信号場がなかったら往復12.0kmが足されてしまい、80円ほど高くなってしまいます。

80円あればうまい棒が5本も買えるのでたまったものではないですね。

成田空港周辺は他にもたくさんの運賃ルールがありますし、成田スカイアクセス線北総線千原線などはさらにいろいろな闇もあるので皆さんも調べてみてください!