ボクの息子はもう子鉄じゃないかもしれない。

子鉄(?)ヤンヤン(中2)の父であり、実写版アラレちゃんの娘ミーミー(小4)の父が、鉄道や子育てを楽しみながら、地方鉄道を救済していく物語です。子供の「だいすき!」「やってみたい!」を大切に子育てをしています♪ 子鉄応援ECショップ「でんしゃデパート」もやっています。本業はとある鉄道会社のSDGsおにいさん。なので、専門的な記事もあります。

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小田急ロマンスカーVSE定期運行終了!そして、引退へ-その魅力を振り返る。

みなさん、こんにちは。

あまりに突然のことで目を疑ったのですが、小田急の白いロマンスカーVSE50000形が、2022年3月12日に定期運行を終了し、各種イベントを経て2023年秋頃に引退することになりました。

ロマンスカー伝統の展望席を備え、白い車体にバーミリオンオレンジのラインを備えた美しくスタイリッシュなロマンスカーは多くの人々を魅了してきましたが、2005年のデビューからわずか17年での引退。

美人短命とは、まさにこのことでしょう。

今回は、その魅力を振り返り、引退までの乗車の楽しみ方を確認しておきましょう!

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町田駅に到着するVSE50000形。

<目次>

 

その名は"Vault Super Express"

VSEとは、"Vault Super Express"(ヴォールト・スーパー・エクスプレス)の頭文字をとったもので、"Vault"とは、「アーチ状の天井や空間」を意味しています。

それを体現するかのように、VSEの客室内の天井は開放感あふれるドーム型の設えとなっています。

列車全体のデザインは、建築家の岡部憲明氏によるもの。

開発が始まった当初は、展望席がないEXE30000形のデビューや、湘南新宿ラインの登場などで、箱根旅行における「ロマンスカー離れ」が進んでおり、改めてロマンスカーによる箱根戦略が描かれ、それが車内外のデザインにも表れているわけです。

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画像出典:小田急電鉄

伝統の展望席

ロマンスカーと言えば、列車前後の展望席が人気の理由の1つ。

展望席が登場したのは、2代目ロマンスカーNSE3100形が始まりで、LSE7000形、HiSE10000形と受け継がれてきましまたが、その後は、通勤利用や地下鉄乗り入れを意識したEXE30000形やMSE600000形は展望席がなく、子供たちからは「こんなのロマンスカーじゃない」と不評でした。

そこで、VSEでは改めて展望席が導入され、箱根旅行への重要なスパイスが添えられることになりました。

展望席の座席数をこれまでより2名増やして16名とし、超大型3次元曲面ガラスを用いることで、車外にいるかのようなダイナミックな展望が楽しめます。

このVSEの引退で、展望席を備えたロマンスカーは、最新型のGSE70000形のみとなります。

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大人気の展望席は、特に休日は、もはや特急券発売日の予約が必須。

伝統の連接台車

一般的な鉄道は、1両あたりに台車が2つ装備されています。

一方、VSE車両と車両の連結部に台車が設置されており、2両で1つの台車を共有しています。

この連接台車は、台車部分で編成を曲げることができるため、急カーブで活躍します。

特に、小田原駅以遠の箱根登山線区間は見ごたえがあります。

1両の長さを短くする必要があるため、路面電車などで使われることが多いため、鉄道線の特急としては稀有な存在でした。

網羅的に確認はしていませんが、おそらくVSEの引退で、路面電車以外の連接台車は長野電鉄のゆけむり号(元ロマンスカーHiSE10000形)のみとなるのではないでしょうか?

一般的な列車の走行音は、
「ガタン→ガタンゴトン→ガタンゴトン→・・・→ガタン」
ですが、連接台車は車両間にあるため、
「ガタン→ガタン→ガタン→ガタン・・・・・・→ガタン」
と、一定のリズムを刻むのが特徴です。

多摩川相模川などの鉄橋を渡るときに聞くと面白いです。

一方、その魅力の反対勘定で、連接台車の設備特殊なものが多く、部品調達コストのスケールメリットも活かしにくくなっています。

小田急によれば、VSE引退の背景として、「主要機器の更新が困難になる見込み」としており、このあたりのVSEの特殊性が足手まといになってしまったのかもしれませんね。

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VSEの連接台車の連結部に設置されている空気ばね。

ドアが外側に開く

列車のドアは、開くとき、通常車体の側面の戸袋に入っていきますが、VSEのドアは車体側面にドアレールがついていて、外側にスライドして開きます。

このようなドアをプラグドアといいます。

通勤電車ではなかなかこのようなドアは少ないですが、外側に開くことで、なんだか出迎えられているかのようなうれしい気分になります。

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箱根湯本駅に停車中のVSE。07と書かれた扉が車体側面の外側に開いているのがわかる。

伝統のミュージックホーン

ロマンスカー共通で、みんなが期待しているのがミュージックホーンです。

小田急の運転士さんもサービス精神が旺盛で、列車の入線時や出発時鳴らしてくれることが多いです。

ロマンスカーミュージックホーンは、初代ロマンスカー3000形SE車から受け継がれていて、音質は年代を追うごとにかっこよくなっています。

かつては、ミュージックホーンが話題になり、「ピポーの電車」と呼ばれ、子供向けの歌も作曲されたほどです。

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箱根湯本駅に入線するVSE。温泉街にミュージックホーンを響かせて走る。

テーマソング"ロマンスをもう一度"

上記の「ピポーの電車」のほかに、ロマンスカーのイメージソングで「ロマンスをもう一度」があります。

これは、葛谷葉子さんの作曲でその後畠山美由紀さんをはじめ多くの方がカバーしている曲です。小田急ロマンスカーのCMソングとして使われているほか、ロマンスカーの車内チャイムとして、このVSEで初めて使用されました。

最新型のGSE70000形でも受け継がれて使用されています。

 

座席が少しだけ窓を向いている

ロマンスカーの旅の魅力はの1つが車窓。

都会を駆け抜けていき、丹沢山地や四十八瀬渓谷、徐々に近づいていく箱根の山々。

そんな景色が楽しめるよう、VSEの座席は、正面に対して5度窓側を向いています。

デザイナーの岡部氏の発案によるもので、当初10度傾ける計画でしたが、やってみたら「かえって落ち着かなかった」そう。

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ロマンスカー伝統の、2席の間にひじ掛けがないロマンスシート。ぜひ大切な人と一緒にどうぞ。

家族で箱根にいこう!

展望席があるロマンスカーGSE70000形だけになってしまいました。

しかし、箱根旅行が楽しくなることは、お墨付き!

ぜひご家族や大切な人とロマンスカーでの箱根温泉旅行を強くおススメします!

 

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