ボクの息子はもう子鉄じゃないかもしれない。

子鉄(?)ヤンヤン(中2)の父であり、実写版アラレちゃんの娘ミーミー(小4)の父が、鉄道や子育てを楽しみながら、地方鉄道を救済していく物語です。子供の「だいすき!」「やってみたい!」を大切に子育てをしています♪ 子鉄応援ECショップ「でんしゃデパート」もやっています。本業はとある鉄道会社のSDGsおにいさん。なので、専門的な記事もあります。

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男子小学生が電気機関車を運転してみた!-上毛電気鉄道デキ3021号-

鉄道キッズ(大きいお友達を含む)の夢を叶えてきた電車でGO!

それ以外にも数々の電車運転シミュレーションゲームはありますが、実機を動かす機会はなかなかありません。

しかし、ローカル鉄道を中心に、プロの運転士さん立ち会いのもと、本物の車両を動かせるイベントがあります。

その1つが、上毛電気鉄道です。

実機を動かす体験イベントの中でも、中学生以上に限定するところもありますが、上毛電気鉄道はなんと!小学生も運転ができます。

今回は、息子鉄ヤンヤンと親子で初めて実機の運転を体験してきました。

20トンもある機関車を動かす感覚は、ゲームとは全く違う臨場感や緊張感があり、なりたい自分への気持ちを大きく膨らませる時間になりました!

中央前橋駅に並ぶ上毛電気鉄道700形。

<目次>

1、上毛電気鉄道とはなにか?

上毛電気鉄道は、群馬県を走るローカル鉄道です。

県庁所在地の中央前橋駅から東に向かい西桐生駅に向かいます。

JR両毛線にも前橋駅桐生駅がありますが、前橋駅中央前橋駅シャトルバスでの移動が必要なほど離れていますし、桐生駅西桐生駅も徒歩9分ほどの距離がある、あからさまにJRと仲が悪そうな路線です。

一方、途中の赤城駅では、東武鉄道と乗り換えが可能で、駅舎も共有している、何かと仲が良さそうな感じがします。

それもそのはず、上毛電気鉄道東武鉄道の子会社なのです。

人材交流もあるようで、今回の運転体験でいろいろな話をしてくれた係の方も、東武鉄道からの出向者でした。

車両は、かつて京王井の頭線で走っていた700形

路線の北側にそびえる赤城さんに見守られながらゆっくりと走ります。

田畑が広がるエリアでは、車窓に赤城さんが望める。

2、大胡電車庫とはなにか?

大胡電車庫は、上毛線唯一の車両基地で、中央前橋駅から約8kmの大胡駅にあります。

車庫の建物は、1928年(昭和3年)に建設された木造建築で、国の登録有形文化財に指定されています。

木造のトラス構造の梁や電気機械室などがそのまま残っており上毛電鉄さんのモノを大事にするマインドを至る所で感じます。

今回のようなイベント以外でも、事前に予約をすれば入場料180円で見学することができます。

大胡車庫で休む700形電車。700形はステンレス車体だが、左のピンクは元中間車で、鋼鉄製の運転台を後付けしたものであり、見た目や質感が違う。

最寄り駅である大胡駅の駅舎も、電車庫とともに国の登録有形文化財に指定されています。

木のぬくもりを感じする、味のある駅舎です。

大胡電車庫の最寄り大胡駅。電車庫へは徒歩で1分ほど。

電車庫は、2編成止められる構造になっており、電車庫内の線路の下には、点検用の通路がありました。

壁なども木造ですが、天井の梁の部分を木造トラス構造(木材を三角形に組むことで強度を増す構造。)にすることで、柱の数を少なくすることができます。

木造の電車庫を外から眺めた。

3,デキ3021号電気機関車とはなにか?

デキとは、電気機関車のことです。

デキ3021号は、1929年に製造され、もともと東急電鉄で活躍していました。

当初は貨物列車の牽引も行っていましたが、車庫や工場での車両の入れ替えによく使われました。

その黒い車体から、「カラス」という名前で親しまれていたそうです。

黒い車体が印象的なデキ3021号「カラス」

晩年は東急こどもの国線恩田駅付近にある長津田車両工場の入換車として活躍し、2009年上毛電鉄へ移籍しました。

しかし、歳のせいか、車籍登録はされていないため、本線を走ることはできず、あくまで車庫内のイベント用という位置づけです。

車体には、「東京急行電鉄」(現:東急電鉄)の名前が刻まれている。

全長は約8mで、重さは20tあります。

車歴を思わせないほど、軽やかに加減速するので、ビックリしました。

上毛電鉄のマークが描かれたものの、車両の番号は3021で継承されている。

4,まずは腹ごしらえ!伝説の車庫弁!!

運転体験は3つの班に分かれて、分散していろいろな体験を代わりばんこで行っていきます。

僕たちの班は、まずは、少し早めのお昼ご飯になりました。

お弁当は上毛電鉄のイベント名物の「車庫弁」!

これは、上毛電鉄さんと、前橋市にある和食料亭椿家とのコラボ弁当。

上毛電鉄イベントでしか食べられないレア弁当なのです!

上毛電鉄名物の車庫弁。カバーには昔の路線図や大胡車庫名物のデハ101号とデハ104号も。

気になる弁当の中身ですが、白米の上に錦糸卵と豚焼肉とヒレカツが載っているシンプルかつ男子が喜びそうな献立になっています。
カバーにも「TonTonのまち まえばし」と記載されており、上州豚を使っているっぽいです。

ソースが良く染みたヒレカツを頬張る息子鉄ヤンヤン

5,運転士になるための勉強!

昼食の後は座学で電車の仕組みや運転技術を勉強します。

中身はお見せできませんが、電車の仕組みを電池と豆電球に例えるなど、身近なものや小学生で学んだことに置き換えてわかりやすく解説してくれていて、現場の皆さんの後進育成に一生懸命取り組んで入りことが伝わってきます。

非常にわかりやすいです!

上毛電鉄さんお手製の教科書。自由研究などにも使えそうな感じ。

6、子供たちよ!これが電車の運転だ!

座学の後に、シミュレーター(ただし、映像と運転台は非連動)でイメージを付けた後、いよいよデキ3021電気機関車に乗り込んで運転に入ります。

運転には、プロの運転士さんが横について、一緒に操作してくれます。

デキ3021号の運転台は、マスコンハンドル(アクセル)とブレーキハンドルが分かれているツーハンドルタイプです。

ただし、鉄道博物館東武博物館にもツーハンドルタイプのシミュレーターがありますが、デキ3021号はブレーキハンドルの構造が違います。

通勤電車などのブレーキは、1から7くらいまでの常用ブレーキと非常ブレーキの合計8段くらい(車両や会社によって違う)あり、ブレーキを入れたままにすると、一定の制動力が働きます。

しかし、デキ3021号のブレーキハンドルは、このような数字の段数ではなく、ざっくり①ブレーキを緩める
②ブレーキ力を一定に保つ
③ブレーキ力を強める
の3つに分かれています。(厳密にはもっと細かい)

ブレーキを掛けるときは、まず③でブレーキを掛けますが、レバーをずっと③にしておくとどんどんブレーキが強くなって急停車してしまいます。

なので、③に入れたらすぐ②にして、停まりそうになったら①にしてまた③にしてといったようにガチャガチャ動かす必要があります。

ブレーキの強さは、手元の空気圧力計と身体にかかる重力で感じてうまく調節していきます。

電車でGO!や博物館のシミュレーターとは違う運転感覚に大苦戦するヤーコン。

運転体験では、約120メートルの車庫線を2往復させてもらえます。

僕の次は、息子鉄ヤンヤンが挑戦します。

で、息子の上手いこと!!

これが若さなのでしょうか?

立ち運転で自在にデキを操る息子。

僕の時は、先生がつきっきりでしたが、息子鉄ヤンヤンの2往復目は、先生の手を添えることなく走り切りました。

なお、運転体験は3つの班に分かれましたが、第3班には何回も参加しているベテラン勢がが集められるんだそうです。

第3班の運転は、こだわりの汽笛やコスプレなどをする人もおり、運転技術も見事。

修了式では、40回目の参加だった人が表彰をされていたほか、参加者の中には70回参加している超大物選手もいました。

AIの時代になっても電車のハンドルは人間が握り続けることを確信した息子の運転。

7,電車は生きている。

運転体験後、旅客列車の古参車両デハ101号車にも乗せてもらいました。

この車両は、1928年の製造で、なんと!今年で94歳!

それでもなお自走することができ、車籍もあるため、貸切列車として本線を走ることもあります。

人間の平均寿命さえ超えている神のような車両です。

94歳ながらしっかりと整備され、衰えを感じさせないデハ101号車。

乗せてくれただけでなく、パンタグラフを上げて、通電してくれました。

断路器やコンプレッサーの「こぽぽぽ・・・」という音が響きます。

なんだか人間でいうと心臓が動き出して、全身に血液が流れだすような感じ。

嗚呼、電車は生きているんだと鼓動が伝わってきて、涙が出そうになりました。

力強くパンタを上げるデハ101号。オレは生きているぞ!

8,上毛電鉄さん、ありがとう💛

初めて実機を動かすという素晴らしい体験でした。

電車はやっぱり生き物なので、シミュレーターでは感じられない鼓動がありますし、心を通わせたような感じがします。

そんな人馬一体のような運転士の仕事は本当に素晴らしいもので、これからも電車が大好きな人の仕事であってほしいと思いました。

東武鉄道と接続する赤城駅ではこんな看板も。この日の運転体験は満員御礼だった。

 

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