JR九州は2023年10月から「ハッピーターン採用」制度を開始すると発表しました。
あの、魔法の粉がかかった、一度手をつけると止めることはできない、亀田製菓のアレ!
それがハッピーターンです。
食べたい!
ということは、これから亀田製菓はJR九州は法廷で争うことになるのでしょうか?
【JR九州のニュースリリース】https://www.jrkyushu.co.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2023/09/28/230928_jrkyushu_happy_turn_saiyou.pdf
<目次>
1.JR九州のハッピーターン採用制度とは?
JR九州のハッピーターン制度は、一般的にはカムバック制度と呼ばれているものです。
具体的には、一度その会社を辞めた人を対象に、それまでのキャリアや役職、処遇などを考慮して再度社員として雇うという場合が多いです。
例えば、子育てや介護に専念するためや、起業や大学院にチャレンジするために退職した人などです。
再度戻れる会社があれば、安心して自分らしいキャリアを歩むことが出来ますし、会社としても自分の会社の風土や文化を知っている人が、企業勤めでは得られない価値観を得て帰ってきてくれることは人材戦略の観点でも有益なことです。
ただし、一般的には再雇用と言えども採用審査は行いますので、上司とケンカしたり、不祥事を起こして懲戒解雇になった人、「私はコレで会社を辞めました」的な人が戻るのは難しいと思います。
鉄道会社でもすでに多くの会社で制度が創られており、JR北海道、JR東日本、JR東海JR西日本、東京メトロ、西武ホールディングス、南海電鉄などで行われています。
なお、大手私鉄には、配偶者などのパートナーが転勤などで引っ越しをせざるを得なくなったときに、引っ越し先の近くの大手私鉄で雇ってもらえる制度もあります(民鉄キャリアトレイン制度)。
2.商標権には「商標の区分」がある。
さて、件の「ハッピーターン制度」に戻りましょう。
商標権の制度は、実は「商標登録されているからどのワードは一切使えない」ほど単純な制度ではありません。
商標登録するときは、特許庁に出願をすることになりますが、その際「商標の区分」(商品及び役務の区分)を指定する必要があります。
「商標の区分」とは、商品やサービスのカテゴリのことで、1類から45類まであり、例えば1類は「工業用、科学用又は農業用の化学品」、2類は「塗料、着色料及び腐食の防止用の調製品」とならびます。
商標権の本質は、その権利の保護にありますので、保護する必要のないカテゴリを保護する必要はなく、カテゴリ外では皆さんに自由に使っていただくことになります。
例えば、標準文字としての「新幹線」は、JR東海、JR東日本、JR西日本の3社で39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送~(以下略)」などいくつかの商標の区分で登録されていますが、6類「ワイヤロープ,金網,金属製包装用容器(「金属製栓・金属製ふた」を除く。),金属製栓,金属製ふた」などの商標の区分においては、福井県福井市の山内隆宏さんが商標権を持っています。
山内さんが何のために商標登録したかは不明です。
なお、商標出願の際、商標の区分を幅広に指定しても登録免許税などの出願料が増えることはありません。
ただし、審査の際に、実際に使わないそうな区分をしていると、本当にその区分で使用するのか証拠の提出を求められることがあります。
3.ドロドロ法廷闘争の顛末とは?
これを踏まえて、「ハッピーターン」はどうなんだというお話になります。
商標権がどのように登録されているかは特許庁のウェブサイトで誰でも検索することができます。
「ハッピーターン」を検索すると、標準文字としては、商標の区分は30類「菓子、パン」でのみ登録されていることがわかります。
よって、JR九州は「菓子、パン」のカテゴリにおいて商標権を侵害していることにはなりませんので、裁判になることも両社が揉めることもありませんということになります。
よかったですね。
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