みなさん、こんにちは!
広い世の中、貨物専用の線路というのがあります。
しかし、その沿線に住んでいる人からしたら、「ここに駅を作って電車が来たらいいのになぁ( ̄^ ̄)ゞ」
というところも結構あります。
そのひとつが、新金貨物線です。
新金貨物線の概要
新金貨物線は、JR常磐線各駅停車の金町駅と新小岩信号場を通って、総武線の小岩駅まで結ぶ路線です。
全長8.9kmの単線でJR東日本が施設を保有し、これをJR貨物が借りて貨物列車を運行しています。
かつて総武線の始発駅が両国橋駅(現両国駅)駅で都心に乗り入れができなかった頃、千葉県からの貨物列車を常磐線経由で都心方面へ走らせるためのバイパスとして計画され、1926年に開業しました。
ふたつの「もったいない」
新金貨物線は、前述のような貨物列車のバイパス路線として誕生しましたが、現在は総武線の都心乗り入れや武蔵野線の開業でその役割は小さくなっています。
1日の列車本数は、朝と深夜を中心に下り4本、上り5本の合計9本。
昼間はほとんど列車が通らず、TOKIOの「それ捨てちゃうんですか?」レベルのもったいなさ。
もう1つは、葛飾区の交通事情。
葛飾区は北から常磐線、京成本線、総武線と東西に走る路線は充実していますが、南北の移動は不便。
南北の移動はバス路線に頼るしかありません。
そのため、古くから新金貨物線に旅客列車を走らせよう!という動きがありました。
旅客化のハードルは高い
古くから旅客化の動きがある割にまったく実現していない理由はひとつ大きなハードルがあるからです。それは、新金貨物線が途中で交差する国道6号線です。
国道6号は、東京日本橋から常磐線とほぼ同じルートを通り、宮城県仙台市にいたる一般国道で、水戸街道と呼ばれています。
新金貨物線に旅客列車が走った場合、国道6号の踏切の遮断時間が増加し、大渋滞が起こるのではないかという懸念があります。
新金貨物線の地下化または高架化によって課題を解消することが物理的には可能ですが、建設費がかなり高額になることから、これまでなかなか旅客化に手がつけられずにいました。
本気を出しはじめた葛飾区
そのような状況下で、南北移動の問題の解決策として、葛飾区は2018年から新金線旅客化の調査、検討を行ってきました。2020年には専任の部署を設置したほか、整備費用として毎年10億円の基金の積み立てを行うこととしました。
そして、今般、2021年度予算が決まり、1,400万円を計上する運びとなりました。
ライトレール案は面白い
葛飾区が検討している案は何通りかありますが、そのうち、どんな列車を走らせるかという論点については、「電車タイプ」と「ライトレールタイプ」があります。
ライトレールとは、床が低く、バリアフリー化された路面電車タイプと電車がのことです。
近年では富山駅の南北が路面電車で繋がるなと駅を中心としたコンパクトシティの実現に寄与しているほか、宇都宮市では新たに郊外に向けてライトレールの建設が進んでいます。
新金線にはこれまで通り貨物列車が通るため、ライトレールと長大な貨物列車が共存する世界観というのは非常に興味深いです。
さらに、路面電車として運転すれば、国道6号との交差部でも、列車を交通信号に従わせて走らせることができ、国道の渋滞発生を緩和することができます。
ただし、ライトレールは路面電車用の軌道法という、普通の鉄道とは別の法律に従うことになり、そこに貨物列車を走らせるのか?という前代未聞の課題にチャレンジすることになります。
でも、もったいない
一方、ライトレールには「もったいない」ことがあります。
新金線は、貨物列車が通過するため鉄道として充実した設備がすでに整っており、一例を挙げればJRのほかの路線と同じ直流1,500Vの電気設備が整っています。
ライトレールではそこまでの電圧は求められないため、宝の持ち腐れになってしまいます。
それならば、普通鉄道として速度も出せて長編成で輸送力を確保した方が望ましいと思います。
そもそも、この旅客列車を新金線内だけで完結させるということ自体が「もったいない」。
もともと貨物のバイパスとして建設された路線ですから、旅客列車も常磐線と総武線とのネットワークを活用したバイパス機能として位置付けるべきだと思います。
例えば、常磐線の柏や松戸から新金線経由で総武線に入り、秋葉原や新宿に向かう列車を走らせることができます。
常磐線は上野東京ライン経由で、上野、東京、品川に出ることができ、さらに新宿が加われば沿線価値は大きく向上することでしょう。
せっかくの貨物線の有効活用、小さく終わるのではなく、国や東京都を巻き込んで野心的に取り組んで欲しいなと思います。
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