みなさん、こんにちは!
JR山手線に存在する唯一の踏切が撤去される見通しとなりました。
撤去対象の踏切は、田端駅~駒込駅間にある「第二中里踏切」。
これにより、山手線は「踏切がない」路線となり、踏切事故などの輸送障害のリスクが大幅に軽減されるとともに、将来の自動運転に向けて大きな弾みとなります。
<目次>
1,第二中里踏切について
第二中里踏切は、山手線唯一の踏切というだけではなく、山手線と湘南新宿ラインが並走する区間ということで、鉄道ビュースポットとしてもオススメの踏切です。
東京駅、上野駅方面から京浜東北線と並走してきた山手線は、田端駅を出ると左に大きくカーブし、京浜東北線に別れを告げます。
そして、ほどなくして大宮方面からやってくる湘南新宿ラインと出会います。
この両線が出会う場所が「中里第二踏切」であり、ここから湘南新宿ラインが横須賀線と合流していく大崎駅付近まで仲良く並走していきます。
ただし、湘南新宿ラインにはここには踏切は無く、「第二中里踏切」と交差する道路の真下を通る構造になっています。
2,線路の向こうへ行くにはどうしたらいいのか
踏切の撤去は、周辺の住民の方の生活環境を一変させてしまうので、おいそれと出来ることではありません。
「第二中里踏切」の撤去も、当然もっと便利な別のルートができて初めて実施できるものです。
現在この付近で山手線の線路の向こう側に行くには、大きく2つルートがあります。
1つは、この第二中里踏切を通るルート。
もう1つは、東側にある田畑高台通りに出て、山手線の上を通る跨線道路橋を渡るルートです。
そして、これから新しくできるお待ちかねの新ルートが、都市計画道路補助第92号線です。
補助第92号線は、田端駅前から伸びる補助第93号線の道路から分かれて、山手線の線路の目の前まで既に通っている道路です。


そして、今般、国土交通省により、この道路を延伸して山手線の上を通る跨線道路橋を建設する都市計画事業の認可がなされたため、めでたく工事に着手することとなりました。
新しく建設される跨線道路橋は、片側1車線の2車線で、車道の幅は自転車通行空間を含め8m、両脇に歩道が設けられる予定で、山手線をオーバークロスした後は、北側の滝野川支所通りに繋がる予定です。


なお、建設予定地では、山手線と湘南新宿ラインは補助第92号線の道路よりも低い位置を走っているため、比較的勾配が少ない設計となると見られます。
この新ルートが完成すれば、比較的狭隘な「第二中里踏切」を通るルートは役目を終え、踏切も撤去されることとなります。
事業期間は令和11年度(2029年)で、それまでに新ルートの供用開始を目指します。
3,山手線の完全自動運転に向けて
JR東日本では、グループ経営ビジョン「変革2027」において、都市部でのドライバレス運転の実現を掲げています。
その一環として、2018年から2019年にかけて、山手線E235系によるATO(自動列車運転装置)による実験が行われてました。
また、この3月には踏切の無い常磐線各駅停車でATOによる自動運転が始まる予定です。
JR東日本は、現行行われているATO運転技術に加えて、列車の運行状況などによって柔軟に運行できるATOの開発を目指しているそうで、日本一忙しい路線と言われる山手線にはピッタリな目標と言えるでしょう。
踏切がなくなったからと言って、運転士さんがいなくなるレベルの自動運転ができるわけではありませんが、踏切ゼロとイチでは大違い。
長大な11両編成のドライバレス化に向けてこれからの取り組みにも注目したいと思います。